これは、勇者にならない人のための記録です。
勇者にならない人生設計
― ドラクエに例えて考える、僧侶ポジションの働き方とお金の話 ―
はじめに|なぜこの話を書こうと思ったか
最近、なんとなく感じている違和感があります。
周りを見渡すと、転職、独立、起業など、いわゆる「勇者ムーブ」をしている人が目につく。
一方で、自分はというと、前に出て戦っている感覚はあまりありません。
仕事では、社長の補佐として総務・経理・バックオフィス全般を担当し、家庭では、妻が新しい挑戦に踏み出すのを横で支えている。
大きな失敗はしていないけれど、派手な成功談もない。
この立ち位置を、どう捉えればいいのかが、ずっと曖昧でした。
自分の立ち位置をRPGに例えてみたら「僧侶」だった
そんなとき、自分の役割をドラクエに例えて考えてみました。
すると、しっくりきたのが「僧侶」というポジションでした。
僧侶は、前線で敵を倒す役ではありません。
- パーティ全体のHP・MPを見ている
- 回復や補助を担当する
- 崩れたら真っ先に立て直す
- 長期戦に強い
派手ではないけれど、いなくなると一気に厳しくなる役割です。
仕事や家庭での自分の立ち位置を考えると、かなり近いものがあります。
ただ正直なところ、最初は「僧侶=控えめで脇役」というどこか下に見た感覚もありました。
「自己評価が低すぎないか?」と言われて
この考えをAIに相談したとき、こんな言葉をもらいました。
僧侶がいないパーティは、だいたい途中で全滅します。
その一文を読んだとき、「あ、そういう見方もあるのか」と思いました。
前に出ていない。主役じゃない。攻撃力が高くない。
そういう理由で、自分の立ち位置を少し低く見積もりすぎていたのかもしれません。
少し大げさかもしれませんが、この視点には、なんだか救われた感じがありました。
僧侶という役割を、もう少し正直に考える
僧侶という言葉を当てはめてみて、
たしかに近いとは思いました。
ただ、
頭に浮かんだのは、
うまく立ち回る理想的な僧侶ではありませんでした。
もっとビビりで、
自信がなくて、
できれば前に出たくないタイプ。
例えるなら、
僧侶の中でもウソップ寄り。
情けないと思う場面も多いし、
「自分なんかが」と思ってしまうこともある。
本音を言えば、
勇者の後ろに隠れていたい。
それでも、
気づくと回復役に回っていて、
全体が崩れないように動いている。
自分から名乗り出たわけではなく、
流れでそうなっているだけなのに、
いないと困る場面がある。
そういう立ち位置です。
役割として考えると、
キングダムの河了貂(かりょうてん)の方が近いのかもしれません。
前線で戦うわけではないし、
自分が主役だとも思っていない。
でも、全体を見て、
どうすれば崩れにくいかを考えている。
目立たないし、
評価されにくい。
それでも、
後ろで支える役割を引き受けている。
僧侶という言葉は、
そうした自分の動き方に
あとから名前をつけたものだった。
最初から
「僧侶でいこう」と決めていたわけではない。
ただ、
振り返ってみたら、
自分はそういう立ち位置に
ずっと立っていた。
ここに来るまでのジョブ遍歴(ドラクエ風)
せっかくなので、ここに来るまでの経歴も、ドラクエ風に振り返ってみます。
10代〜25歳|スーパースターに憧れる遊び人
10代から20代前半は、音楽で売れることを本気で目指してバンド活動をしていました。
実力よりも夢が先行し、地道なレベル上げより、一気に覚醒する未来を信じていた時期です。
結果として、このジョブでは先に進めませんでした。
25〜30歳|魔法使い見習い(IT業界)
夢を諦め、派遣という形でIT業界に入りました。
専門用語が飛び交う世界で、Excelやプログラミング、ビジネス知識など(例えると基礎魔法)を必死に覚えていた時期です。
攻撃力もMPも足りないけれど、この修行が、後になって効いてきました。
寄り道|向いていなかったジョブに手を出した話
修行の途中で、ネットワークビジネスにハマった時期もあります。
ここもスーパースターに憧れる遊び人だったでしょうか。
結果として、上手くはいきませんでした。
ただ、「何も残らなかったか」と言われると、そうでもないと思っています。
人を巻き込む難しさや、営業的なスキル、仕組みを回し続ける大変さ、そして何より、「これは自分には向いていない」という感覚。
遠回りではありましたが、後の判断基準を作る経験にはなりました。
30〜35歳|商人寄りの魔法使い(Webディレクター)
その後、Webディレクターとして働くようになります。
この頃の役割は、
- 技術者とクライアントの橋渡し
- 設計と調整
- 段取りと管理
前線で戦うより、パーティ全体が回るように動く立場でした。
商人寄りの魔法使い、そんな感覚です。
35歳〜現在|僧侶
35歳を過ぎてから、簿記の勉強を始め、総務・経理などバックオフィスにも関わるようになりました。
今の自分を一言で表すなら、やはり僧侶だと思います。
派手ではないけれど、トラブルが起きたときに真っ先に立て直す役割です。
サブクエスト|副業と資産運用
副業を始めたのは、Webディレクターとして働いていた頃からでした。
ネットワークビジネスのときにどこかで求めていた「権利収入のようなもの」を、別の手段で作れないかと考えたのがきっかけです。
自分にできることを考え、Webや文章、仕組みづくりなど、少しずつ手を動かすようになりました。
資産運用については、簿記を勉強し始めてからようやく腹落ちするようになりました。
数字や構造が分かってくると、投資も「賭け」ではなく、設計の一部として捉えられるようになった気がします。
資産運用も「ジョブと装備」で考えてみる
資産運用も、ジョブに合った装備だと考えると、少し気が楽になります。
自分の場合、
収入(HPや攻撃力)を無理に上げるより、
生活コスト(防御力やMP)を削らない設計の方が合っていました。
- つみたてNISA:防具(派手ではないけれど、生存率を上げる。)
- 高配当株:毎ターン回復(金額は小さいが、お金が働いている感覚がある。)
- 暗号資産:アクセサリー(遊び要素+期待しすぎず、なくなっても致命傷にはならない。)
正解を提示するつもりはありません。
今の自分には、この装備構成が無理がない、それだけです。
なぜ「勇者ムーブ」を選ばないのか
勇者を否定したいわけではありません。
ただ、自分には向いていないと感じただけです。
これまでを振り返ると、1番手よりも、2番手・3番手でいる方が力を発揮できていました。
前に出る人を支え、全体を見て、崩れそうなところを立て直す。それが自分らしい。
勝ち続けるより、全滅しないことを優先する、そんな戦い方です。
今の暫定結論|僧侶としての設計
今の自分の結論は、かなり地味です。
- 増やすより、崩さない
- 一発逆転を狙わない
- 選択肢を減らさない
これが正解だとは思っていません。
ただ、今の自分には合っています。
おわりに|これは実験ログです
この記事は、正解を教えるためのものではありません。
自分の考えを整理し、あとから振り返るための記録です。
もし、
- 前に出ていない気がする
- 主役じゃないと感じている
そんな人がいたら、「こう考える人もいるんだな」と思ってもらえれば十分です。
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